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現場に行く途中、いつも通る道の景色が何かいつもと違うことに気が付きました。
街路樹が伐採されていたからでした。 それも、1本残らず、全ての木が、切り株になってしまっていました。 それに気が付いた瞬間、動悸がして、何か息が詰まるような、吐き気がするような気持に襲われました。 約1.5kmにわたり道路の両側の街路樹がすべて切られたのです。 地図の中の青いラインは、団地内のメインストリート、いわゆるバス通りです。 このメインストリートの両脇の全ての木を1本残らず伐採した・・・という事態は、ちょっと異常な気がします。 理由は分かりませんが、近隣住民には説明とか告知とかあったのでしょうね。 でも、街路樹って、そこに住む人達だけのものではないと思うのです。 おそらく、落葉の掃除の問題とか、落葉が側溝に詰まって集中豪雨の際の雨水処理に支障が出ている・・とか、もしかしたら害虫が付いているとか、道路を横断する人が見えにくいとか、剪定などの管理の財源がないとか、問題は多岐にわたっていたのかもしれません。 だから、全部切ってしまえば問題が片付く・・・ということだとしたら、それこそ恐ろしいことだと思います。 一ヶ岡団地は、昭和の高度経済成長の時代に、延岡市内のニュータウン開発として大規模に造成された団地です。 団地内には当時マンモス小学校があったほどで、一つの町を作り上げるぐらいの規模の開発でした。 当時の団地開発計画には、近代的なインフラ設備と同じぐらい重要な要素として、街路樹の整備は位置づけられていたに違いありません。 折しも自動車や工場の排ガス問題、騒音問題などの公害が社会問題化していた時代。 車道の脇を緑化することは、その対策として有効な手段として必須要素だったはずです。 また、大規模ニュータウン開発は全国各地で行われ、都市の緑地率とか、田園都市計画とか、様々な規制やルールの下で街路樹の整備は欠かせないインフラのひとつだったはずです。 関東大震災から100年にあたる今年、多くの特集番組が放送されました。 地震の揺れによる建物の倒壊だけでなく、火災による甚大な被害と犠牲者が出た震災でした。 その後の復興計画では、火災から都市を守る手段として、一定規模の緑地や、街路樹を整備することになった・・・ということは、都市計画を学んだ人ならば常識レベルの話だと思います。 団地が出来て50年以上。 街路樹も50年間、そこにあり続け、街並みの一部として、住宅地の景観を創ってきました。 秋には美しく紅葉し、また春には新緑が芽生え、道行く人々の目を楽しませてくれていました。 夏は歩道に木陰を作り、バス停でバスを待つ人にとっても、ありがたい日影だったに違いありません。 その一方で、近隣住民からは、落葉の掃除が大変で切って欲しい・・という苦情も毎年のようにあったとか・・。 団地が出来た当時からの世代は、もう80代や90代になり、街路の掃除は無理・・という方もいらっしゃるでしょう。 街路樹の脇に住む人だけが、掃除をする負担を強いられ、不公平だ・・という苦情もあったかもしれません。 現代社会において、人々は時間に追われ余裕がなく、落葉の掃除何かしている暇はないというのも、わかります。 また、便利すぎる世の中になり、何でもボタン一つで済む生活の中で、落葉を掃除するなんて、面倒臭いことは誰もしなくなった・・・ということもあるでしょう。 だから、庭に木を植えたくないという人も、たくさんいます、実際住宅の設計の仕事の中でも、そのような要望が多く聞かれます。 側溝に落葉が詰まって雨水が流れず、浸水被害が出る・・・という理由で、何百本という街路樹をいっぺんに総伐採し、ますます地球温暖化に拍車がかかり、集中豪雨が毎年発生する悪循環を生みだしている・・ということは考えられないか? 東京では神宮外苑の再開発で、多くの樹木が伐採されることに、各界の著名人をはじめとする反対運動が巻き起こっています。 ビッグモーターが店舗前に街路樹を、除草剤で枯らしたり、撤去したりしたことについて、器物損壊罪で訴えられる事態にもなっています。 朝ドラでは、植物学者の牧野富太郎や南方熊楠が、神社合祀による森の伐採に危惧して、反対運動を起こす歴史を描いています。 延岡市は、行政の事業として1.5kmにわたる街路樹をすべて伐採してしまうことを、時代に逆行した異常な行為だとは思わなかったのでしょうか? そこに住んでいないから、口だけ出して、無責任だ・・・と言われるのは重々承知しております。 ですが、苦情に対して都市計画課の中だけで問題解決をしようとしないで欲しかった・・。 問題が多岐にわたり、一筋縄ではいかないからこそ、多方面からの意見の収集、全国各地の事例収集など、やれることはまだまだあったのではないかと思うのです。 例えば学校や教育との連携で、校外学習としての街路樹を守り育て維持管理していくプログラムを作る・・落葉の季節になったら落葉拾いに出かけ、校庭で焼き芋大会をして、最近子供たちが扱う機会がなくなってしまった「火」の適切な使い方や管理方法を学ばせる・・とか。 落葉回収車を行政で購入し、落葉の季節には定期的に走らせる・・とか(実際、息子が大学の時に住んでいたアパートの前は、早朝に回収車が走っていました)。 その財源がないなら、ふるさと納税で募るとか・・・。 まちづくり団体とか、景観を守るサークル活動を企画するとか、何かのイベントと絡めるとか、 思いもよらないアイデアや企画が、もしかしたら出てきたかもしれません。 なんだかんだと言っても、すでに切られてしまった木は、もう元にはもどりませんね。 広く告知すれば、必ず反対運動が出て、ますます厄介なことになるから、やってしまったもん勝ち・・ということで進められたならば、それが一番怖いことだとおもいました。 この写真は、現場から帰ってくる途中、信号待ちで停まった時に、撮ったもの。 もう団地のメインストリートの最後の区画です。 進行方向の背後に、約1km以上も、このような切り株だけの景色がずーっと続ています。 これから秋になって紅葉し、落葉する前に、全部切ってしまいたい・・・・という思惑だったと想像します。 ③につづく
by aiarchi555
| 2023-09-17 23:19
| 俗人
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