最新のコメント
お気に入りブログ
ai建築アトリエ ~Ot... glaf blog My favorite ... 住まいとデザインのはなし... yumily sketch レトロな建物を訪ねて 今日もマウスで5分 青蓮亭日記 柴睦巳 備忘録 chisa-photolog Walking Shoes TEIONE BLOG ... 文化遺産見学案内所 モダン周遊Ⅱ 100歳まであと何年? gaRage-Reading2 カテゴリ
以前の記事
検索
タグ
猫
庭
車
写真
建築探訪
栃木県
宮崎県
本
東京
奈良県
材料
長崎県
福井県
大分県
神奈川県
広島
鳥取県
沖縄県
番組
事故
熊本県
子供の頃の思い出
福岡県
映画
建築士会
群馬県
靴
眼鏡
学校で講話
岡山県
延岡
運動
神奈川
サプリメント
うさぎ
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
週明け月曜日から、瓦職人さんが現場入り。
屋根の瓦葺き工事が始まっています。 軒先の役物瓦に、一文字軒瓦を使いました。 すっきりと一文字に軒先に線が通り、洗練された佇まいです。 瓦割り付けによる垂木の@や、軒の出、ケラバの出を、プレカット図作成段階から入念に打合せしていただいておりました。 軒先をスーッと一直線に通すための熟練の技が必要ですし、とにかく手がかかるとのこと。 人の手で時間をかけて丹精込めて作られたものには、魂が宿ると思っています。 だから、美しいのだと思います。 時間短縮、効率化、値段を安く、熟練の技が無くても誰でも出来る・・・というのが時代の流れです。 ある部分ではそれも大事なことなのかもしれませんが、それだけを追求してきた挙句、何か大切なことを置き去りにして来て、世界中で矛盾がたくさん生まれています。 いやいや、屋根の瓦の話から、そんな世界レベルの話にまで飛躍させなくてもいいのですが・・・。 こんなにちゃんと和瓦のことを調べたことはありませんでした。 瓦って、日本の気候風土を考えた建築材料なのですね。 木造建築が密集する日本の町並みでは、火災の時の延焼を抑える役目になるし、粘土を焼いたものなので、屋根の断熱材の機能も持っていたかもしれません。 そして、1枚1枚を重ねて葺いていく過程で、適度な隙間が生まれ、屋根の通気の機能も持ち合わせていることでしょう。 傷んだ部分だけを取り換えたり、修繕したりすることもできます。 今でこそ、手間のかかる材料だと言われるようになりましたが、江戸時代、瓦はきっと合理的で画期的な材料だったに違いありません。 型にはめて形を成形して焼くだけで、大量に同じ形の物が作れる・・という点では、大量生産品の草分けだったかもしれません。 それを、ひとつひとつ人の手で葺く・・という作業は、昔も今も変わらず・・ですね。 設計当初、三州瓦を使う予定でおりましたが、瓦屋さんとの着工前の打合せで、石州瓦に変更することにしました。 大きな違いは、棟部分の納まりに使う役物部材の違い。 台風の通り道であるこの辺では、棟部ののし瓦の納まりには気を遣います。 昔ながらの土や漆喰を使った納め方ではなく、完全に乾式で施工できる役物部材と、強力棟という金物との取合いが、よく研究されている瓦でした。 数年前の台風が房総半島を直撃した際、屋根瓦が大量に飛んで、大きな被害をもたらしました。 その経験を踏まえ、瓦の施工について、建築基準法告示が改正され、全ての瓦をビス留めする施工方法に変わりました。 瓦屋根は台風の時に飛んでいくから・・と、敬遠されがちでしたが、瓦も年々改良され、施工方法の研究も進んでいることを知りました。 そして石州瓦の方が、焼く時の温度が高いそうで、凍結による割れとか、塩害による被害が少ないとのこと。 敷地は海にも近く、台風の後の塩害にはよく遭う場所なので、いろいろご提案いただいて、石州瓦を採用したわけです。 長年瓦施工をされて来られた職人さん方のお話には、説得力があります。 瓦の産地は、材料に適した粘土を大量に地層に蓄えていて、それぞれの地方にあった性能をもった瓦を焼いて来たのだと思います。 日本三大瓦産地は、三州(愛知県)、石州(島根県)、淡路(淡路島)です。 この前のブラタモリでは、淡路島の淡路瓦が取り上げられていましたしね。 これまであまり縁のなかった材料ですが、時間のかかる工程、そして職人さん方の美しい手技など、この面倒くさい材料を堪能したいと思います。 初めて使う材料には、何か心ときめくものがあります。 「連続の美学」をまさに体現する瓦屋根。 出来上がった時の美しさが、今からとても楽しみです。
by aiarchi555
| 2021-10-20 17:04
| 仕事人
|
Comments(0)
|
ファン申請 |
||