チロさんへ

　チロさんへ

　今年も梅雨に入りました。
これから雨の日が続きそうです。

いつもなら、雨の日が続くと、うちの縁側で雨宿りしていたあなたが、今年は姿を見せないので、寂しいです。

　あなたを慕っていつも一緒にいたあなたの娘チューコやサイゴー、孫のミケも、ご飯の時間以外はどこかにいってしまって、急に我が家の庭の様子は変わってしまいました。

　チロさんがうちに来るようになったのは、たしか2015年の春でしたね。

あなたの伴侶のミーコは、その前から顔を出していましたが、「僕のお嫁さんです！！」とあなたを紹介してくれたのが5年間の春。

　あなたはその時すでに赤ちゃんを産んでいたのですね。

ミーコと一緒にうちで過ごしてみて、ここなら赤ちゃんを連れてきても安心だわ・・と思ってくれたのでしょうか？

とっても可愛らしい真っ白の仔猫を連れて来てくれました。

　その翌年もまた２匹連れて来て、とっても幸せな家族を作りましたね。

チューコもサイゴーもチーコも、みんなあなた譲りの真っ白な女の子で、あなたがとっても可愛がるから、大人になってもとっても甘えん坊さんで、いつもあなたに引っ付いて回っていましたね。

　あなたは他にもたくさんの赤ちゃんを産みました。

でも車にひかれたり、カラスに捕まえられたりして、悲しい思いもたくさんしたことでしょう。

たくさんの仔猫を必死に子育てして疲れ果てたあなたを見て、あなたに不妊手術を受けてもらいました。

そんなひどいことをされても、人間の身勝手な行為を許してくれたあなたは、それからもずーっとうちの庭で家族と穏やかに過ごしてくれましたね。

　時には、家族以外の猫さんもやって来ました。

それでもあなたはいつも優しく受け入れて、一緒にご飯を食べ、寝るところを譲ってあげました。

　あなたの娘たちが子供を産んだ時には、一緒に助け合いながら子育てをしましたね。

あなたの孫のミケさんは、母猫サイゴーがお留守の時でも、あなたがいつもお留守番して子守をしてくれました。無事に立派に成長しましたね。

　あなたの伴侶のミーコがいなくなった時、あなたの悲しみはどれほどだったことでしょう。
ミーコと一緒に縁側で過ごしたあなたの幸せそうな姿が、今も忘れられません。

　あなたはだんだんと歳を取り、身体が辛かったのかもしれませんね。

だんだんと動きがゆっくりになり、お天気のいい昼間も寝ていることが多くなってきました。

それでも弱音を一つも吐かずに、家族を守り続けてくれました。

あなたが辛い思いをしているのにも気づいてあげることができず、１か月も家を留守にしてしまって、本当にごめんなさい。

しっかりお留守番してくれて本当にありがとう。

みんな元気で無事でいてくれました。

　最後の役目を果たして、疲れてしまったのでしょうか？
私が東京から帰って来て、めっきり元気がなくなってしまって、ある日を境に、あなたの姿を見かけなくなりました。

ずーっとお留守番してくれていたので、ちょっと気晴らしにお散歩にでもいったのでしょう・・と思っていましたが、それっきり帰って来ませんね。

今、あなたはどこにいるのでしょうか？

　これから雨が降る日が多くなります。

温かいところで安心して眠りたくなったら、またいつでも帰って来て下さい。

あなたの娘や孫たちも、あなたの帰りを待っていますよ。

　チロさん、いつも気高く、いつも堂々として、広い心を持ち、とっても子煩悩で、子供たちをしっかり守り教育し、素晴らしい家族を作り上げたあなたに、私はたくさんのことを教わりましたよ。あなたのようなお母さんになりたい・・と思いました。

　チロさん、あなたと過ごしたこの庭での日々を思い出しながら、あなたの写真を選んでみました。

　チロさん、ありがとう。