ハナオ

　先日からちょくちょく姿を現す新顔の野良さんがいます。

鼻の先が黒いので「ハナオ」と名付けました。

　きっと若いオス猫なのでしょう。

うちの庭に集うメス４匹のお仲間に入りたいらしく、夕方から夜にかけて現れます。

発情期なのだと思います。

　夜中に猫がケンカする声で目覚め、外に出てみると、このハナオ君がチューコさんを追いかけてる・・・・ってなことが数回ありました。

夜中に猫のケンカの声なんて、ご近所の猫嫌いの人からしたら大迷惑なことでしょうし、野良さんに餌をあげている家・・として、ご近所からますます白い目で見られること間違いない・・・・。

それよりなにより、私も熟睡出来ませんしね。

うちの庭猫さんたちも、安心してうちに居られなくなれば、どっかに行ってしまうかもしれませんし・・・。

なので、やっぱり去勢手術をするべきだろうか・・・？とここ数日考えていました。

　さて、そんなことを考えた矢先の昨日の夕方、またハナオが庭に現れました。

そしてまたチューコさんが追いかけまわされていましたので、意を決して捕獲器を準備しました。

車庫の角、車があって人目に付かないところに捕獲器を置いて、バスタオルを２枚掛けて見えないように仕掛けました。

扉が下りる音が聞こえるように、それからずーっとアトリエで仕事しながら待機していたところ、１時間ほど経った時、扉が下りた音がしました。

　びっくりしたのでしょう、中で大暴れして、捕獲器ごと動いていく勢いでした。

ごめんよごめんよ・・・怖いでしょうね。

季節は冬、外は寒いので、アトリエに捕獲器ごと入れてあげることにしました。

　アトリエ内のプーコは、別のケージの中に入っていますので、直接接触することはありません。

プーコは、ハナオの威嚇の声にちょっと驚いて、ケージの中で横たわっていたのにお座りして様子を伺っています。

プーコを刺激しないよう、ケージにがばーっと布を掛けて、安心させました。

　ハナオ君・・、捕獲器の中でウーウー言っていますが、ちゅーるをあげたら食べました(笑)。

そして、しばらく落ち着くまでバスタオルを掛けたまま放置して、大人しくなったところで、ご飯を入れてあげました。

一晩、アトリエの中でゆっくり寝んねしてください。

　で、今朝。

動物病院に電話して、これこれしかじか説明すると、去勢手術してくださるとのことで、連れて行ってきました。

捕獲器の中のご飯は、全部平らげていました。

チロさんやチーコさんは、捕獲器の中ではご飯も食べなかった・・・、やっぱ、あの子たちはプライドが高く、人間に気は許さない・・という意地があったのね。

今日は動物病院に１泊して、明日の朝迎えに行きます。

　ハナオ君は、結構まるまる太っているけれど、どっかでご飯をもらっていたのかな？

どこで育ったのかな？どこからうちにやって来たのかな？

　野良のオスは、メスを探して、あちこち動き回る習性があるし、お目当てのメスを見つけると、オス同士で縄張り争いのケンカもします。

幸いうちの近所には、ミーコ（オス）が死んで以来、オスの野良さんはいませんでしたので、ハナオ君は争わずしてうちの庭に入り込めたのでしょう。

どこかで野良として育って、自分の縄張りを求めてうちにたどり着いたのでしょうか？

　うちのメスたちはすでに全頭不妊手術済みなので、子孫が増えることは心配ないのですが、ハナオ君がまた別のところに行って、別のところで野良さんが増えてしまっては、元の木阿弥になってしまいます。

悩みましたが、やはりハナオ君は、この機会に去勢手術を受けてもらいましょう。

　猫が自由に外を歩き回れない世の中になってしまって、何でも人間中心で、人間の都合で勝手に不妊手術とかさせられて、本当に本当に心が痛みます。

懺悔の気持ちを抱えつつも、また動物病院に連れて行ってしまった・・・・。

自分がご近所から白い目で見られないように・・・・、自分が猫に餌をあげたいばっかりに・・・・。

結局は自分のために猫を手術に連れて行っているのではないか・・・と、胸が苦しくなります。

　同じ猫なのに、うちの庭にいる猫だけを守って可愛がって、その他の猫はお腹を空かせていても傷を負っていても「あっち行け」と追い払う・・・ってことは、やっぱできないのですよ。

この近所の猫好きも猫嫌いも、穏やかに静かに暮らしていけるように、猫同士のケンカや発情を減らし、ご飯をあげても子孫がどんどん増えていかないように、どうか勘弁してください、ハナオ君。

　明日、お迎えに行くからね。