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一昨日、お電話を頂きました。
リノベーションのご相談の電話でした。 鉄骨造3階建て、1階は店舗、2・3階を住宅として使っていた中古物件を、不動産屋さんからご購入されたそうで、そのリノベーションをするにあたり、どこに依頼しようか検討中・・とのことでした。 私にお電話して来られるまでにも、県外の建築家にも、数名ご相談された・・とのこと。 中には、県外からその物件をわざわざ見に来て下さった建築家もいらっしゃるとか・・・。 リノベーションの工事には、行政から補助金が出るらしく、その条件として、地元の業者で施工する必要があるそうです。 で、その候補となる工務店さんのお名前も、2社ほどお話ししてくださいました。 その工務店さんは、建築家が設計した案件の施工を、現在ちょうど工事中だし、設計事務所が間に入る仕事も請けてくれると思うし、その力量もあると思います・・とのこと。 その工務店さんが設計施工で請けないのか???と逆に尋ねると、それは可能だと思いますが、でも、それはしたくない・・とのことでした。 とかく田舎の方でありがちな「いっちゃがいっちゃが」的な空気が嫌なのだそうです。施主と工務店さんとの間に、設計事務所を入れて、自分たちの要望を工務店に伝え、手抜きなく工事することを監理して欲しい・・というようなこともおっしゃいました。 ちょっと何か指摘すると「クレーマーだ」と言われかねないし、そのためにも設計事務所に入っていただきたい・・と。 なるほど・・・。そのための設計事務所ですもんね。 無理難題で感情論的な要望でない限りは、それはそうだ・・と納得してお聞きしていました。 そして、お話の中で「相性が大事」ということを繰り返し言われました。 それはもう、とても大切なことで、そうでなければお互いの信頼関係が築けませんからね。 で、具体的な建物の状況を聞かないことには、どんな仕事になるのか判断もつきませんので、場所や築年数をお聞きしていったわけです。 建物は新耐震基準より前の建築で、すでに建設時の図面等は一切残っていない・・と。 そして場所を聞く限り、おそらく商業地域か近隣商業地域で、準防火地域に入っているかもしれない・・と思いました。 そもそもがS造3階建てなので、いわゆる「4号建築物」ではないわけです。 大規模な模様替えに該当する工事になれば、確認申請の手続きが必要になるでしょう。 建築時の確認申請とか検査済証の有無を調べて、既存不適格に該当するのかどうか・・とか、事前に調査も必要です。 そして、何より、現行法の耐震基準に合致していない建物を、どうやって合法的に持って行くのか・・とか、そもそも図面が残っていない建物の構造計算をどのようにするのか・・とか、その難しさもご説明しました。 耐震基準に満たない建物に、確認申請が必要ない小規模な改修工事で済ませ、自分の寿命ぐらいまでとりあえず住めればいい・・・という選択肢も一方ではあるわけです。しかし、そのリスクを施主自信が納得した上で、その道を選ばなければなりません。 というか、そもそも確認申請が必要でなかったとしても、だからといって違法な建築物を建ててもいい・・ということではないわけですが・・・。 なので、大見えを切って「確認申請が必要ない程度の小規模なリフォームにしましょうね」とは、本来言えないのですよね。 そんな、少々難しく、話せば話すほどだんだんとウザくなっていくようなことを、それでも大事なことだから説明しておかなければ・・・・と思って、電話口でまくし立てていたら、案の定、先方さんが段々と意気消沈していく様子が伺えました。 そして「県外の建築家さんは、ご夫婦で設計事務所をされていらっしゃって、話し方もとても優しくて、柔らかい物腰で、確認申請が必要ない範囲でやりましょう・・と言ってくださった」と、その女性の相談者はおっしゃいました。 もうこの時点で、私は「どこに依頼するか、一番は、相性が大事なんです」とおっしゃったご相談者の篩(ふるい)からはこぼれたのでしょう(笑) さて、ここからが本題で・・・・。 「耐震基準」を満たさない建築物は、世の中に五万とあります。 そして、その多くが空家(空き店舗)になっている現実があります。 持ち主が他界してしまった・・とか、高齢になって店を続けられない・・とか、建物を手放す理由も、それはもうどうしようもないことなのです。 中古物件として、大量に世の中に出回ってしまっている、それらの建物。 再利用しようとすれば、法的な手続きや、耐震基準を満たすための補強工事に、ものすごい労力と時間とお金がかかってしまいます。 なので、法的手続きをしないでいい方法でリノベーションをして使い続ける方法を選ばなければならなくなるのですが、「耐震基準」を満たしていないというリスクは、どこまでもついて回るわけです。 (ただ、法的な手続きをしなくていいだけであって、本来、違法なことを放置しているに過ぎないのですが・・・) たまたま先週の土曜日「辰巳拓郎の家物語 リモデルきらり」を見ていたら、「リファイン」で有名な青木茂先生のご自宅が取り上げられていました。 さすがです!! 世の中がリノベーションブームになる以前から、本格的な取組をされてこられたこの道の先駆者であり、庁舎のリファインなど、たくさんの実績をお持ちの建築家ならでは・・ですな。 しかし、こんなことは、誰でもは出来ない・・というのも現実です。 今回の電話のご相談者も、この物件を買う前に、地元の一級建築士さんに見てもらって相談した・・とのこと。 その時に、上記のような込み入った説明はなかった・・とのことですし、リノベして住み良く出来るのだ・・と信じて疑わなかったことでしょう。 実は、もう何年も前にことですが、同じようなご相談を頂いたことがありました。 RC3階建ての古い建物(おそらく築50年ぐらいだったかと記憶します)を、リノベして住みたい・・と。 その時も、同じような説明をして、結局、私の仕事にはなりませんでしたが、その後、その建物の前を通りかかったら、それなりにリフォームしたのでしょうね、住んでいらっしゃいました。 なので、小難しい法的手続きがどうのこうの・・・ではなく、住めればいい・・という選択肢もあることを知っています。 大きな地震が来て建物が倒壊し、その下敷きになって命を亡くす人たちがいること 家が半壊して危険だから「立入禁止」と貼紙をされて、仕方なく避難所で生活する人たちがいること に、心を痛める私たちです。 が、ちょっと時間が経つと、その痛みを忘れてしまいます。 そして、お金がないから仕方ないよね・・・って思ってしまいます。 その矛盾とか、その思いのやりきれなさに、苦しくなってしまうのです。 「建築士」であるがため故に・・・ですね。 大きな震災の後、木造2階建までの住宅については、耐震診断の補助金制度が創設されました。 一部の行政では耐震補強工事の補助金が出るところもあるそうです。 国や行政は、人命の被害が多かった、古い木造住宅の倒壊については、それなりに手を打ってきたと思いますが・・・、まだまだ十分ではないと思います。 人が安全で安心に幸せに暮らしていける世の中 建物を長く安全に使い続けていくための施策 増え続けていく空家や中古ビルをどうするか 今回の電話でのご相談から、何か、もうどうしようもなく先の見えないドツボにはまったような気分です。 そんなことは見て見ぬふりをしながら、日々の雑多に勤しんでいればいいのだ・・と、半分開き直った自分もいますしね。 ただ今回自分の仕事にならなかっただけのことで、引き受けた建築家さん、せいぜい頑張ってね・・的な意地悪根性もチラチラあったりしてね。 日本ってこれからどうなるんでしょうね・・・。 え?これがオチだったの???? 自分の身体のサイズより小さい空き箱に入って、満足そうにくつろぐマロさん。
by aiarchi555
| 2019-07-18 13:23
| 仕事人
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