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広島の旅の記録の最後です。
広島市現代美術館で、村野藤吾展を見終わった時、すでに午後1時を回っておりました。が、お昼を食べずにそのまま、移動。 行先は、もちろん、世界平和記念聖堂です。 ところが、何と何と、建物には仮囲いと養生シートが取り巻いており、外観を見ることが出来ませんでした。鐘楼の塔には、まさに今足場を架けている最中で、みるみるうちにどんどん高く足場が積み上げられていきました。 改修工事が始まるところなんですね。 せめて、美術館で開催されている展覧会の会期が終了してから始めてくれれば・・・・、あと3日だったのにね。 梅雨時なので、お天気を見計らいながら工事を進めなければならない事情もあったのでしょう、そこは建築をしている人間だから理解はするのですが・・・。まあ残念。 でも、内部は見ることができました。 詳しい説明とかうんちくは、ここで私が長ったらしく書くよりも、先人たちがたくさん残していらっしゃいますので、是非、ネットで検索されてみてください。 手ブレしまくりの写真を記録として残します。 どれとどれを前に飛び出させるか、村野藤吾が自ら現場に赴いて指示したと言う手積みの煉瓦が作り出す外観を、間近で見ることは叶いませんでしたし、欄間のレリーフや彫刻の数々も見られませんでしたが、内部のステンドグラスからの光は美しく、設計に求められた「日本らしさ」も感じられる内部空間でした。 外から張られたシートのせいで光が内部に十分入らないのか、日頃からこのぐらいの明るさなのかはわかりませんが、まるで洞窟の中に入っているように外界から遮断された静けさと相まって、自然と気持ちが鎮まります。 内部空間の天井・壁は、「ひる石入りプラスター仕上げ」と書いてあるので、石の粉を混ぜた石膏を塗っているのでしょう。ざらざらした表面の無機質なグレーの空間に、装飾と言えば規則的に並ぶステンドグラスだけ・・という贅をそぎ落とした空間です。だからこそ、大胆な黄金の彫刻や、色をまとった大きなステンドグラスが創り出す祭壇の荘厳さが際立っているのでしょうか? 建設途中で朝鮮戦争が勃発し、当初の契約金額から何倍も工事費が跳ね上がってしまったとのこと。その当時の現場監督さんが、後々この聖堂内で村野や関係者と会して対談しているビデオが展覧会で流れていました。現場監督が支店長や本社にその旨を掛け合ったところ、採算度外視してでもやり遂げなさい・・・との指示をもらい、この建築の建設に携わる使命感は並々ならないものだった・・というような話をしていらっしゃいました。この現場に関わったすべての人たちの思いが、一つの方向を向いていた・・というような話。胸が熱くなります。 モダニズムの合理主義が盛んに設計に取り入れられるようになった戦後の時代に、外観にも内部インテリアにも、いわば「時代遅れ」と反発の議論さえ起ったという手仕事の技を多用し続けた村野藤吾。 あれからまた半世紀以上も年月が経ち、建築の世界から捨て去れた技法やデザインが、今とても質の高い「遺産」と呼ぶべき建築に昇華していることは、ある意味皮肉でもあります。 今、村野藤吾が生きているならば、現代の経済至上主義、効率第一の建築業界の在り方をどう見るのでしょうか? 似たようなものをそれらしく見える材料で、早く安く仕上げることはいくらでも可能です。 でも、本物に備わっているものは何なのか??と考えた時、そこにかけられた人の手の数、人の手がかけた時間、その建築に対する人の思いなのかもしれない・・。 これから先の短くなった建築人生で、何かほんの少しでも、本物に近づける努力をしていきたい・・・と思うのでした。 朝からごはんも食べずに歩き回り、前日以上にヘトヘトな体。 今回の旅に誘ってくださったIC(インテリアコーディネーター)の皆さんと一緒に、お昼ご飯を食べに行きました。 前日一人で訪れたおりづるタワーに、ICの皆さんと一緒に再訪。 1泊2日の旅でしたが、前々から見たかった建築を見ることが出来て、中身の詰まった満足な旅でした。 帰りの新幹線では爆睡。 九州北部豪雨の被害はニュースで知っていたけれど、小倉からの帰り道も大雨には遭遇せず、スムーズに帰ってくることができました。 さて、月末は東京!!なかなか行く機会がないので、予習をしておきます。
by aiarchi555
| 2017-07-13 18:53
| 旅人
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